2021年2月発行

NWMLSの最新住宅統計データにコメントした業界エキスパートたちによると、競争の激しいPuget Sound市場から締め出されている住宅購入者は、コンドミニアムを選択肢として検討するのも一案のようだ。
「在宅勤務と郊外移住のトレンドを受けて、シアトルやKing郡のコンドミニアム市場は新しい選択肢を提示している」とBerkshire Hathaway HomeServices Signature Propertiesオーナー兼指定ブローカーのGary O’Leyar氏は語る。O’Leyar氏は、同郡のコンドミニアムの供給量が多く(戸建ての0.69ヶ月分に対して1.67ヶ月分)、価格の二桁上昇がしばし止まったことに注目し、買い手はこの「絶好のチャンス」を吟味してはと語った。
King郡の場合、NWMLSデータが示す価格帯は$149,000〜$14,895,000で、中央値は$525,495となる。King郡で先月販売されたコンドミニアムの価格中央値は$399,975、システム全体では$359,950だった。
エリア全体の戸建て住宅(コンドミニアムを除く) 販売価格の中央値は$509,950。これはコンドミニアム価格より$150,000高い(42%近く割高)。
26郡を対象とするNWMLSレポートによると、戸建て住宅とコンドミニアムの新規登録物件は前年超えとなり(約5.5%増)、販売件数は16%超の大幅増で5,074戸から5,896戸へ伸びた。先月の販売価格中央値($483,250)は、2020年1月の$422,750から14.3%と大幅に値上がりした。販売契約件数は2020年1月からは微増(増加率1%未満) だが、2020年12月からは7.4%増加した。
John L. Scott Real Estate会長兼CEOのJ. Lennox Scott氏は、「早春市場のキックオフとなる、スーパーボウル・サンデー(NFLの優勝決定戦、今年は2月7日に開催済) の後に」登録物件の増加を見込んでいる。同氏は、現在の市場を「一部の高級住宅の価格帯に至るまで、大変な活況ぶり」と評した。歴史的な低金利が、引き続き買い手の強い動機になっているとScott氏は述べ、「この冬は、あらゆる物件に複数のオファーが舞い込んでいるように感じる」と語った。
Scott氏によると、ひとつの物件に最大40回もの内見を手配したブローカーもいる。「今日の極めて熾烈な競争市場を勝ち抜くために、提示価格を上回るオファーを出して先手を打つ買い手も見受けられる」と同氏は語り、「この目的は『取引を阻止』し、売り手に対してオファー審査の予定日前に自分たちのオファーへの合意を迫るため」と説明した。
Coldwell Banker Bain社長兼CEOのMike Grady氏は「我々の見方では、典型的な忙しい春の不動産市場をいつ迎えてもおかしくない」と語る。
NWMLSディレクターのJohn Deely氏もその楽観論に同調する。「主要な郡がコロナ対策のフェーズ２に移行することで、ソーシャル・ディスタンスを確保したオープンハウスの人数制限が再び最大10人(ブローカー含む) まで緩和される。また新政権の発足やコロナワクチンの普及により、ブローカーからは楽観的な声が届いている。」と同氏は語った。

住宅所有者4人のうち1人はマイホームに20年以上住み続けており、この所有形態としては過去最長の水準に達したことがRedfinの調査で明らかになった。主な要因は高齢化であり、コロナ禍でその傾向が加速している。アメリカ国民がマイホームに住み続ける期間が長期化することで、住宅不足が拡大している。Redfinの調査によると、2020年の典型的な持ち家所有者の所有期間は13年間で、10年前の8.7年間から大幅に増加した。National Association of REALTORS® (全米リアルター協会) によると、持ち家所有期間の長期化が住宅在庫の供給停滞の一因となっており、2020年12月には史上最低の前年比23%減となった。在庫薄により住宅価格は急上昇している。

昨年末にNational Association of Home Builders (全米住宅建設業者協会、NAHB) に住宅購入を考えていると語った人の多くが、その考えを行動に移している。NAHB Eye on Housing にブログ記事を執筆したRose Quint氏は、第4四半期の2020年住宅動向調査で質問を受けた人の15%が住宅購入を検討中と回答したが、そのうち56%が現在積極的に家探しをしていると伝えた。1年前は、住宅購入を検討している人のうち実際に行動したのは43%に過ぎなかった。