2021年1月発行

NWMLSのレポートによると、購入希望者が住宅争奪戦を繰り広げることで、「貪欲な買い手需要」による在庫不足が続いている。12月統計データの概要では、ホリデーシーズンを通じて力強い販売活動が見られ、新規登録物件、販売契約件数、販売件数、価格ともに二桁増となった。
NWMLSのブローカーが12月に在庫に追加した新規登録物件は5,260戸で、2019年12月から39.3%の大幅増。ブローカーが契約件数6,883戸を報告したため、先月の追加在庫は需要を満たすには至らなかった。この数字は、2019年12月の契約件数を940戸上回り15.8%増となった。
契約件数は複数の郡でとりわけ堅調で、前年比25%増以上を記録し、特にGrant郡(133%増)、Kittitas郡(55%増) およびPacific郡(43%弱増) の増加が著しい。
「在宅勤務者の増加により、シアトルからさらに離れた物件も購入されている」と、ワシントン大学のWashington Center for Real Estate ResearchのディレクターであるJames Young氏は見解を述べた。
月末時点で、25郡を対象とするMLSデータベースに記録されたシステム全体の売り出し中物件は4,732戸。これは2019年12月の8,469戸から44%減となる。在庫月数に換算すると、全体でわずか2週間分(0.53ヶ月分) の供給に過ぎない。
住宅価格は上昇が続く。先月販売された戸建て住宅およびコンドミニアム9,008戸の場合、価格は2019年12月から12.2%近く急騰し、$435,000から$488,000に上昇した。NWMLSのレポートによると、価格の前年割れを報告したのはわずか3郡(Ferry郡、Okanogan郡、San Juan郡) で、それ以外はほぼすべての郡で二桁上昇した。
「住宅市場はすさまじい活況ぶり」と語るのは、John L. Scott Real Estate会長兼CEOのJ. Lennox Scott氏。同氏は、新規登録物件の契約状況が、低金利と大量の買い手予備軍にあおられ「熱狂的なレベル」にあると表現した。
「ホリデーシーズンが終わった今、地域の住宅市場は2021年に買い手の急増を迎えるだろう」と同氏は予測する。また同氏は、在宅勤務が可能な人々が、都市中心部からさらに離れたライフスタイル／デスティネーション市場に移動していると伝えた。
WindermereチーフエコノミストのMatthew Gardner氏は「2021年を迎え、引き続き堅調な買い手需要が予測されるが、あいにく在庫が大幅に増加する可能性は低い。その結果価格は上昇し続け、これは売り手には朗報でも、住宅の手頃感の懸念材料となる。これは、住宅ローン金利の緩やかな上昇と相まり、市場の勢いをやや弱めるかもしれないが、全体的には、住宅市場は引き続きPuget Sound 経済にとって非常に明るい材料になると見ている」と述べた。

Redfinの新たな調査によると、全米で最も競争の激しい不動産市場10市場のうち、6市場がワシントン西部にあり、そのうち5市場はTacoma近郊地域であることが明らかになった。そして今、どこよりも熱いのがSpanawayで、レポートによると69%近い住宅が提示価格以上で販売され、平均市場日数はわずか5日と昨年より8日短いとRedfinは報告している。同地域全体の住宅価格は昨年から21%近く上昇し、供給は三分の一近く減少した。Spanawayは、Redfinが100点満点で判断する不動産市場の競争力評価で98点だった。そのすぐ後ろにつけたのがLaceyとTacomaで、どちらも96点を獲得し、ここでは通常住宅が市場にとどまるのはわずか6日間だ。

ATTOM Data Solutionsの2021 Rental Affordability Reportによると、全米の大半の地域では、住宅は賃貸よりも所有する方が手頃である。同社は、米国の915郡で、３ベッドルームの住宅の中央値および同等の住宅の家賃を調査したところ、572郡または63%で住宅を所有する方が手頃であることが分かった。
住宅価格は、全米の大部分で家賃や賃金よりも早いペースで上昇している。とはいえ、それでも住宅所有の方が手頃なのは、3%未満という驚異的な住宅ローンの低金利が住宅価格の上昇コストを抑制しているため」とATTOM Data SolutionsのTodd Teta氏は語った。