2021年6月発行

5月は、NWMLSが追跡する住宅市場の主要指標のいくつかで、最高記録と最低記録を達成する月となった。
NWMLS理事でBellevueのWindermere Real Estate/East支社長のRobb Wasser氏は、少なくとも過去20年間で初めて、戸建住宅の売り出し中物件数が4月から5月にかけて減少したと述べた。対前月比の減少幅はわずかだが (83戸のみ)、2020年5月と比べると、5月の在庫は4,824戸減 (46.6%減) と大きく落ち込んだ。
戸建て住宅とコンドミニアムの在庫月数は、システム全体でわずか2週間分 (0.59ヶ月) にまで減少し、これにはワシントン州の39郡のうち26郡が含まれる。これを下回るのは2021年3月と2020年12月のみで、両月ともわずか0.53ヶ月分の供給だった。
前年比ベースの価格上昇率は、5月の販売件数9,374の価格中央値が2020年5月から30%も高騰したことで、過去最高を記録した模様。
NWMLSデータを確認すると、5月に販売された戸建て住宅 8,011戸 (コンドミニアムを除く) の価格は、提示価格の107.3% で販売された。Puget Sound地域4郡 (King郡、Snohomish郡、Pierce郡、Kitsap郡) ではこの数字は108.6%、またKing郡は109.5%だった。
「コロナ禍では記録破りの住宅価格、記録破りの在庫不足、記録破りの消費者貯蓄率と、過去1年はすべてが記録破りだった」と語るのはKeller Williams Greater Seattleオーナー兼指定ブローカのMeredith Hansen氏。「これらはすべて、来年も減速しない可能性のある非常に強力で混沌とした市場をもたらすに等しい」と、NWMLS理事会の一員でもあるHansen氏は付け加えた。
ブローカーが5月に追加した戸建て住宅およびコンドミニアムの新規登録物件は11,922戸で、4月の12,043戸をわずかに下回った。ブローカー、売り手、買い手が不動産業界に対するコロナ関連の行動制限に適応しつつあった2020年5月と比べると、新規登録物件数は20.8%増加した。
販売契約件数は新規登録物件を僅差で上回り、ブローカーは11,969戸の双方合意済み契約を報告した。この数字は2020年5月の10,389戸も上回り (15.2％増)、MLSブローカーが契約件数12,053戸を記録した9月以来最高の数字となった。
高い需要により在庫は枯渇が続く。月末時点のNWMLSデータベースの売り出し中物件は5,533戸で、買い手が10,357戸の物件から選ぶことができた2020年5月の在庫のほぼ半分だった。
John L. Scott Real Estate会長兼CEOのJ. Lennox Scott氏は、堅調な販売が今後も続くと確信する。「我々は、相当数の中古物件と、それに比例した数の住宅が契約を見込める絶好のポジションにある。買い手需要の熱狂ぶりは衰えていない。地域の市場では、より手頃な中価格帯は今も実質的な完売状態で、一部地域ではそれが高価格帯にも及んでいる」と同氏は述べた。

米国国勢調査局の新たなデータによると、2019年7月1日から2020年7月1日までの間に、シアトルの人口は約1万6400人の純増となり、総人口は76万9700人に達した。これは昨年の人口増加率2.2%の計算になる。また全米の大都市上位50都市で、シアトルの人口増加率は第1位であったことを意味する。それではコロナ禍の間にだれもが押し寄せたサンベルト (北緯37度以南の温暖な地域) の都市はどうだったか？たしかに人口はハイペースで増えているが、シアトルには及ばなかった。テキサス州フォートワースが第2位、それにアリゾナ州メサ、テキサス州オースティン、フロリダ州タンパが続いた。シアトルの2020年の人口増加率は、実は2010年代に見られた数字とほぼ一致する。またシアトルは、過去10年間で人口増加率が最も高い都市でもある。

米国国勢調査局および米国住宅都市開発省の共同分析によると、建築資材価格の記録的な高騰と継続的な労働力不足により、4月の新築住宅販売 (季節調整済み・年率換算) は863,000戸に減少し、3月の改定値を約5.9%下回った。
4月の新築住宅販売は、2020年4月の速報値582,000戸からほぼ倍増した。
「新築住宅販売戸数は引き続きコロナ前の水準を大きく上回るが、木材ほか主要な建築資材価格の高騰や変動が新築住宅の建設と販売プロセスに課題をもたらしていることは明白だ」とZillowのエコノミストMatthew Speakman氏は述べた。