2021年10月発行

9月の住宅市場は、ワシントン州全体で「非常に活発」から「熱狂的」な状態が続き、ブローカーからは新規登録物件、販売件数、価格が前年比で増加したことが報告された。またNWMLSのブローカーは、コンドミニアム市場の安定性の高まりも察知した。
NWMLSの新たなレポートによると、ブローカーが9月に新たに売り出した新規登録物件は、去年同時期の11,210戸をやや上回る11,373戸。戸建て住宅とコンドミニアムを含むこの数字は、8月の11,437戸にほぼ匹敵し、レポートで報告された26郡の販売契約件数11,318戸をわずかに上回った。
去年と同じ時期に比べ、 契約件数は12,053戸から11,318戸へと約6%減少した。この減少にも関わらず、Puget Sound地域（King郡、Kitsap郡、Pierce郡、Snohomish郡) の9月の双方合意済み契約件数は、2003年以降の9月期の記録としては2番目に高い実績であったとJohn L. Scott Real Estate会長兼CEOのJ. Lennox Scott氏は指摘する。昨年の4郡の契約件数8,606戸が、20年近くにわたる同期間中の最高記録である。
在庫不足は、買い手にとって引き続き課題となっている。月末時点にNWMLSのブローカーが報告したシステム全体の売り出し中物件は7,757戸。8月の売り出し中物件7,425戸からはやや増加したものの、去年同時期に比べ14.8%近く減少した。
9月末時点の在庫月数は約3週間分 (0.75ヶ月) で、8月の0.70ヶ月からはやや改善したが、去年同時期の0.89ヶ月を下回った。在庫月数が1.04ヶ月分に達した2020年7月以降、供給が1ヶ月分に届かない状況が続いている。
ワシントン大学のWashington Center for Real Estate Researchのディレクター、James Young氏は「King郡とSnohomish郡では売り出し中物件が減少しているため、出社再開で人々が都市部に戻るにつれて、この地域の都市部で価格圧力が高まる可能性がある」と指摘した。
職場の出社再開に備えて都市部の近くに住みたいという人には、コンドミニアムが選択肢の一つになるかもしれない。
「嬉しいことに、シアトル地域のコンドミニアム市場は、コロナ禍の打撃を受けたものの今は安定しており、販売件数、価格ともに着実な伸びが報告されている」と語るのは、Windermere Real Estateのチーフエコノミスト、Matthew Gardner氏。
NWMLSの9月期のデータによると、King郡では、9月に販売されたコンドミニアム戸数が去年同時期に比べ20 % 増と大幅に伸びた。シアトル市内では、販売件数が34 % 以上も増加した。(King郡は現在、コンドミニアムの在庫の7割、および販売件数の6割を占めている。) コンドミニアムの価格は、全米で8%以上伸びた。
NWMLSのデータによると、King郡で8月に販売された戸建て住宅の中央価格帯は$825,600、一方でコンドミニアムは$466,501となっている。

ワシントン州のJay Inslee知事は、同州の(家賃滞納者に対する) 強制退去猶予措置の1ヶ月延長を発表した。この猶予措置は9月末に失効予定だったが、新たな失効日時は10月31日午後11時59分になった。これまで通り、家主が物件の売却や入居を予定している場合や、入居者によって物件に健康上や安全上の問題が生じていると宣誓供述書で宣言された場合には、引き続き強制退去が認められる。強制退去に対する猶予措置は、新型コロナ感染拡大の開始時に、収入を失った賃借人の苦境を支援するために初めて導入された。知事室は、この1ヶ月間の延長により、各郡が救済基金を借り主に行き渡らせるための時間的猶予を確保できるよう期待していると述べている。

Zillowが新たに発表したConsumer Housing Trends Reportによると、市場はほぼ年間を通じて怒涛の勢いだったにも関わらず、2021年に住宅を売却した売り手の大半は、過去の年とおおむね同じような経験をしていたことが明らかになった。ただし、注目すべき例外が一つある。それは、売り手の4分の1近くが、物件に4件以上のオファーがあったと回答したことだ。今年、マイホームに少なくとも4件の入札があった売り手は24%にのぼり、2020年の14%、および過去3年間の平均値15%を上回った。3件のオファーを受けた売り手の割合も上昇し、昨年の13% から今年は16%に伸びた。